『火山のふもとで』松家仁之著 ー 建築と時間が織りなす物語
松家仁之の『火山のふもとで』は、長野県の浅間山麓を舞台に、建築をめぐる人々の人生と時代の流れを静謐に描いた作品だ。主人公は、大学卒業後に村井設計事務所に就職し、ある公共図書館の設計コンペに関わることになる。 物語の舞台と登場人物 本作の主人公である「私」は、新米の建築設計者。村井
続きを読む読・想・書 IORI no OMOTE HACHIKU
松家仁之の『火山のふもとで』は、長野県の浅間山麓を舞台に、建築をめぐる人々の人生と時代の流れを静謐に描いた作品だ。主人公は、大学卒業後に村井設計事務所に就職し、ある公共図書館の設計コンペに関わることになる。 物語の舞台と登場人物 本作の主人公である「私」は、新米の建築設計者。村井
続きを読むはじめに 乙野四方字さんの小説を原作とした『僕を愛したすべての君へ』を読んだ。本作は、並行世界を舞台にした切ないラブストーリーだ。同時に刊行された『君を愛したひとりの僕へ』と対をなす作品で、どっちから読むかで結末が変わる作品。 ドングリfmのエピソード933回でなつめぐさんが紹介
続きを読む1.昨年借りた本は109冊 昨年、図書館から借りた書籍は109冊にのぼった。とりあえず買う前に借りてみて、おもしろかったら購入するスタイルを貫いている。絶対に手元に置いておきたい本以外は、まず借りる。これが鉄則だ。 例えば、新書や小説は一読したら基本的には読み返さない。授業で使う
続きを読む内なる声が聞こえることが、人間が他の動物とを隔てる特徴だ。自分の声を聞くことで自分と対話をすることができるようになった。誰かと対話をして生き延びてきたことが自分一人でできるようになった。しかも静かにだ。心の中は常に賑やかであるにも関わらずだ。 さて、その脊椎動物の頂点にいる人間と
続きを読む娘の通っていた保育園では英語教育の時間があった。必要か否かで言えば、個人的には不要だ。3歳の時点では。日本語もままならないのに英語が身体化されるはずがないと考えるからだ。もちろん、英語のリズムや楽しさなんかを教えるというのなら別なのだが、どうも早期英語教育には「?」だ。 さて、そ
続きを読むコンピューター科学の話かと思いきや言語の話からスタートした。これがまたクソおもしろい。 以下、個人的にビビビと来た箇所を引用していく。 「言語とは人間を獣から隔てる境界線であり、人間以外にこの一線を越えた動物はいない」と、オックスフォード大学教授のマックス・ミュラーは一八六一年に
続きを読む子供のころって妖怪やお化けの類って世界共通のものかと思っていた。ゲゲゲの鬼太郎を初めて読んだときはセンセーショナルだった。そうだ、自分の住んでいるところにはこんな物の怪がいるのだ!あー恐い!と思ったもんだ。仮面ライダーでは怪人が出てくる。妖怪とはちと違うが同じようなものだ。 妖怪
続きを読む今回はトーマス・ズデンドルフ著「現実を生きるサル空想を語るヒト」を読んだ。確かリチャードドーキンスの「利己的な遺伝子」、「絵本 種の起源」、「言語はこうして生まれる」あたりを読んだ流れで手に取ったんだと思う。この時期は言語と脳と種について興味があったのだ。 ヒトと動物の心の違い、
続きを読むダイエットを9月に始めたときに、結論として食わなきゃ痩せるってのがあって、appetiteってなんぞやって常々思っていた。余談だが、寝ても痩せる。起きてると痩せないのに寝ると痩せるってのも面白い。それは置いといて。 食わずに寝てると痩せていくのだけれど、と同時に筋量も下がっていく
続きを読む『ストーリーが世界を滅ぼす』は、物語の力と影響について深く考察した内容であり、現代社会におけるストーリーテリングの功罪についての一冊だ。 書店にこの真っ赤な本が並んでいるのはよく見ていた。人は物語が好きだ。物語性のある話に人は惹かれる。プレゼンでは物語調であるほうが説得力が増し、
続きを読む近代における時間の感覚について述べている。列車、学校における時計、江戸から明治にかけてどう時間間隔が日本人に根付いていったかを丁寧に書いている。 確かに時計が一般庶民に浸透するまで時間って統一しにくいだろう。季節ごとに日照時間が違うから、それに合わせて時間を変えていただろうし。そ
続きを読むサビーナ・ラデヴァ (著), 福岡 伸一 (翻訳)の「ダーウィン 種の起源」を読んだ。 種の起源をイラストがメインで解説していく。数ページで種の起源を総なめしようってことなのでもちろん美味しい部分しか載せていないのだが6歳の娘にはおもしろそうに映ったようだ。 やはり目を惹くのは絵
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