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タコの心身問題 Other Minds: The Octopus, the Sea, and the Deep Origins of Consciousness

内なる声が聞こえることが、人間が他の動物とを隔てる特徴だ。自分の声を聞くことで自分と対話をすることができるようになった。誰かと対話をして生き延びてきたことが自分一人でできるようになった。しかも静かにだ。心の中は常に賑やかであるにも関わらずだ。 さて、その脊椎動物の頂点にいる人間と

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複数の言語で生きて死ぬ

娘の通っていた保育園では英語教育の時間があった。必要か否かで言えば、個人的には不要だ。3歳の時点では。日本語もままならないのに英語が身体化されるはずがないと考えるからだ。もちろん、英語のリズムや楽しさなんかを教えるというのなら別なのだが、どうも早期英語教育には「?」だ。 さて、そ

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コンピューターは人のように話せるか?―話すこと・聞くことの科学

コンピューター科学の話かと思いきや言語の話からスタートした。これがまたクソおもしろい。 以下、個人的にビビビと来た箇所を引用していく。 「言語とは人間を獣から隔てる境界線であり、人間以外にこの一線を越えた動物はいない」と、オックスフォード大学教授のマックス・ミュラーは一八六一年に

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『中国の死神』から無常フィギュアを検索するまで

子供のころって妖怪やお化けの類って世界共通のものかと思っていた。ゲゲゲの鬼太郎を初めて読んだときはセンセーショナルだった。そうだ、自分の住んでいるところにはこんな物の怪がいるのだ!あー恐い!と思ったもんだ。仮面ライダーでは怪人が出てくる。妖怪とはちと違うが同じようなものだ。 妖怪

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李歐

読んでいる間、脳内では板垣恵介先生(刃牙)が描いた二人がブロマンスをひたすら繰り広げていた。 多分読んでくれたら、なんとなくこの意味が分かってくれるのではないだろうか。 一彰と李歐という対照的なキャラクターは、互いに欠如している部分を補完し合う関係にあり、物語はその葛藤や統合を通

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現実を生きるサル 空想を語るヒト―人間と動物をへだてる、たった2つの違い

今回はトーマス・ズデンドルフ著「現実を生きるサル空想を語るヒト」を読んだ。確かリチャードドーキンスの「利己的な遺伝子」、「絵本 種の起源」、「言語はこうして生まれる」あたりを読んだ流れで手に取ったんだと思う。この時期は言語と脳と種について興味があったのだ。 ヒトと動物の心の違い、

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科学者たちが語る食欲

ダイエットを9月に始めたときに、結論として食わなきゃ痩せるってのがあって、appetiteってなんぞやって常々思っていた。余談だが、寝ても痩せる。起きてると痩せないのに寝ると痩せるってのも面白い。それは置いといて。 食わずに寝てると痩せていくのだけれど、と同時に筋量も下がっていく

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ストーリーが世界を滅ぼす

『ストーリーが世界を滅ぼす』は、物語の力と影響について深く考察した内容であり、現代社会におけるストーリーテリングの功罪についての一冊だ。 書店にこの真っ赤な本が並んでいるのはよく見ていた。人は物語が好きだ。物語性のある話に人は惹かれる。プレゼンでは物語調であるほうが説得力が増し、

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フキダシ論

漫画に関しての論考は実におもしろい。日本の漫画が描く物語性についてであったり、オノマトペであったり、人物の描写と背景描写の食い違いであったり、とにかく考察は興味深いものがたくさんある。 仕事柄、授業に使えたら楽しそうだなぁと邪な気持ちで読んでしまうことも多い。今回もそんな邪な気持

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遅刻の誕生 橋本毅彦

近代における時間の感覚について述べている。列車、学校における時計、江戸から明治にかけてどう時間間隔が日本人に根付いていったかを丁寧に書いている。 確かに時計が一般庶民に浸透するまで時間って統一しにくいだろう。季節ごとに日照時間が違うから、それに合わせて時間を変えていただろうし。そ

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美しい絵本で学ぶ、ダーウィンの「種の起源」

サビーナ・ラデヴァ (著), 福岡 伸一 (翻訳)の「ダーウィン 種の起源」を読んだ。 種の起源をイラストがメインで解説していく。数ページで種の起源を総なめしようってことなのでもちろん美味しい部分しか載せていないのだが6歳の娘にはおもしろそうに映ったようだ。 やはり目を惹くのは絵

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煌夜祭 多崎礼

物語を語る語り部と、冬至の日に人を喰らう魔物を巡るファンタジー小説と言えばいいのだろうか。とかくに物語は悲哀を含むことが多いが、人が生きていく中で時代の流れに飲み込まれていく様を自分の生活に置き換えてみるという経験が読書なのだろう。 それぞれの国で起こった出来事を語り部が物語とし

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手仕事の日本 + 南無阿弥陀仏 柳宗悦

『民藝とは何か』をなんとかかんとか通読できたので、そのままの勢いで柳宗悦の二冊目へ。日本の各地における民藝を詳細にレポートしている一冊だった。 これも苦しい一冊だった。日本は北のほうから南下して、地方の民藝を紹介してくれるのだが、なじみがなさ過ぎて想像がついていかない。プラス、こ

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たったひとつの冴えたやりかた ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 

うーん、胸糞悪い内容だった。久しぶりのバッドエンド作品で、読後感はもやもやで一杯だ。 1985年初出のSF小説で、40年前という文章ではなくて驚く。16歳の女の子が宇宙船で宇宙の果てに旅に行く。異星人とのファーストコンタクトを夢見て、たった一人で冒険に出るのだ。そこで出会うは・・

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私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか メラニー・ジョイ

タイトルはすんげー面白そうだったのでわくわくしながらページをめくった。が、結局はヴィーガンの話に終始した。 我々は豚や牛を食べる。屠殺して、綺麗にパッケージ化されて、それを買い、動物の死を意識することなく日々口に運ぶ。それってどうなのって言う話。晩御飯に出されたすき焼きを、食べて

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