修了式の日に思うこと
今年もこの日がやってきた
ついにこの日がやってきた。修了式。
三学期の終わり、すなわち一年間の終わり。
校庭には、まだ少し肌寒い風が吹いている。でも、生徒たちは春の日差しを浴びながら、校長先生の話を聞いている……たぶん。いや、たぶん半分くらいは別のこと考えてる気がする。でもまあ、それでいい。だってもう、今年度は終わるのだから。
最後のホームルーム、通知表タイム
式が終わると、いったん教室へ。最後のホームルーム、そして通知表タイムである。生徒たちは微妙な表情で待っている。期待と不安が入り混じったような、あの顔。「やばい、絶対おかんに叱られる」って顔をしている生徒もいる。「またあいつに負けたー!」って叫んでいる生徒もいる。でも、まあ、それもまた青春。
一人ひとりに通知表を渡しながら、
- 「よう頑張ったな」
- 「次はもっといけるやろ」
- 「お、成長しとるやん!」
と声をかけていく。生徒たちのリアクションもさまざまで、ニヤニヤするやつ、落ち込むやつ、うんうんと頷くやつ。終わりゆく1年間を噛みしめる時間やなあ、と思っていたら——
「先生、もう終わりかあ」
ぽつりとつぶやいたその言葉に、ちょっとだけ胸がキュッとなる。終わりやけど、終わりじゃない。新しいスタートはもう目の前よ。
先生との別れ 〜離任式〜
感傷に浸る間もなく、次は離任式。
今年度で学校を去る先生方が最後の言葉を伝えてくれる。
長年この学校を支えてくれた先生、新しい挑戦に向かう先生、それぞれの思いが詰まったスピーチに、生徒たちも真剣に耳を傾ける。そして、涙をこらえながら感謝の言葉を伝える。
- 「先生、ありがとうございました」
- 「もっと勉強頑張るから」
- 「寂しいけど元気でいてください」
その光景を見ながら、月並ながら「やっぱ教師ってええ仕事やなあ」としみじみ思う。
そして最後の大仕事、「油引き」
さて、ここで終わらないのが神戸の修了式。
最後の大仕事が残っている。
そう、「床に油を引く」のである。
この文化を初めて知ったとき、
「いや、マジで?」「ホンマにやるん?」と疑問しかなかった。
でも、長年酷使された教室の床をきれいに整えるのは、次の学年へのバトンタッチの儀式でもあるのだ。
生徒たちはモップを片手に、
「めっちゃピカピカやん!すべる〜〜」
と目を輝かせながら、床を磨き上げる。なかには、靴を油塗れにしてスケートのようにして遊ぼうとする者もいるが、当然即・禁止。つるつるの床の上を華麗にすっ転ぶ生徒が出る前にやめさせなければ。
そして迎える放課後……
職員会議も無事終わり教室の戸締りをしに向かう——
油を引いたことをすっかり忘れた先生たちが、廊下で
「うわっ!」
と足を滑らせる音が響く。春の訪れを感じる瞬間である。