月: 2025年3月

『モモ』ミヒャエル・エンデ著 ー 時間を取り戻すための物語

ミヒャエル・エンデの『モモ』を読了した。物語の根幹にあるのは「時間とは何か?」という問いだ。そして、エンデは単にそれをファンタジーとして描くだけでなく、現代社会に生きる我々への痛烈な批評としても機能させている。読み進めながら、ある言葉を思い出した。「人間は、他者との関係の中でのみ

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『火山のふもとで』松家仁之著 ー 建築と時間が織りなす物語

松家仁之の『火山のふもとで』は、長野県の浅間山麓を舞台に、建築をめぐる人々の人生と時代の流れを静謐に描いた作品だ。主人公は、大学卒業後に村井設計事務所に就職し、ある公共図書館の設計コンペに関わることになる。 物語の舞台と登場人物 本作の主人公である「私」は、新米の建築設計者。村井

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修了式の日に思うこと

今年もこの日がやってきた ついにこの日がやってきた。修了式。三学期の終わり、すなわち一年間の終わり。 校庭には、まだ少し肌寒い風が吹いている。でも、生徒たちは春の日差しを浴びながら、校長先生の話を聞いている……たぶん。いや、たぶん半分くらいは別のこと考えてる気がする。でもまあ、そ

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ネットラジオ黄金時代から音声メディアの復権

1. ねとらじというネットラジオがあった 20年以上前、インターネットが今ほど動画に支配されていなかった時代、「ねとらじ」というネットラジオがあった。「26歳ふりぃたぁ」「永井ラジオ」「むてきんぐ」「黒豆」「幸楽」……懐かしい名前が次々と蘇る。リスナー数の多かったDJたちの配信を

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僕を愛したすべての君へ/君を愛したひとりの僕へ ~40代おじさんが語る切ないラブストーリー~

はじめに 乙野四方字さんの小説を原作とした『僕を愛したすべての君へ』を読んだ。本作は、並行世界を舞台にした切ないラブストーリーだ。同時に刊行された『君を愛したひとりの僕へ』と対をなす作品で、どっちから読むかで結末が変わる作品。 ドングリfmのエピソード933回でなつめぐさんが紹介

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「春どこいった?」地面を埋め尽くす氷のつぶ

春はどこへ?寒さ続く一週間 期待した春の訪れ 先週のニュースではこう言っていた。 「来週は暖かくなり雪が溶けるでしょう。雪崩にお気を付けください。」 ほう、ついに暦の上だけでなく、本当の春がやってくるのか。わくわくだぜ。 冬の厳しい寒さを乗り越え、ようやく暖かい陽気が訪れるのかと

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図書館活用術 〜本棚と財布を守るために〜 図書館で2024年に借りた本一覧

1.昨年借りた本は109冊 昨年、図書館から借りた書籍は109冊にのぼった。とりあえず買う前に借りてみて、おもしろかったら購入するスタイルを貫いている。絶対に手元に置いておきたい本以外は、まず借りる。これが鉄則だ。 例えば、新書や小説は一読したら基本的には読み返さない。授業で使う

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娘、望遠鏡を作る

舞子高校の天文気象部企画に参加! 先日、兵庫県立舞子高校の天文気象部が企画した天体望遠鏡作りのワークショップに、娘と一緒に参加してきた。星の観察会は全国各地で定期的に開催されており、環境省のWEBサイトにも掲載されているほどの社会貢献的な取り組みだ。今回も同様の形で開催され、本当

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