『モモ』ミヒャエル・エンデ著 ー 時間を取り戻すための物語
ミヒャエル・エンデの『モモ』を読了した。物語の根幹にあるのは「時間とは何か?」という問いだ。そして、エンデは単にそれをファンタジーとして描くだけでなく、現代社会に生きる我々への痛烈な批評としても機能させている。読み進めながら、ある言葉を思い出した。「人間は、他者との関係の中でのみ
続きを読む読・想・書 IORI no OMOTE HACHIKU
ミヒャエル・エンデの『モモ』を読了した。物語の根幹にあるのは「時間とは何か?」という問いだ。そして、エンデは単にそれをファンタジーとして描くだけでなく、現代社会に生きる我々への痛烈な批評としても機能させている。読み進めながら、ある言葉を思い出した。「人間は、他者との関係の中でのみ
続きを読む松家仁之の『火山のふもとで』は、長野県の浅間山麓を舞台に、建築をめぐる人々の人生と時代の流れを静謐に描いた作品だ。主人公は、大学卒業後に村井設計事務所に就職し、ある公共図書館の設計コンペに関わることになる。 物語の舞台と登場人物 本作の主人公である「私」は、新米の建築設計者。村井
続きを読む今年もこの日がやってきた ついにこの日がやってきた。修了式。三学期の終わり、すなわち一年間の終わり。 校庭には、まだ少し肌寒い風が吹いている。でも、生徒たちは春の日差しを浴びながら、校長先生の話を聞いている……たぶん。いや、たぶん半分くらいは別のこと考えてる気がする。でもまあ、そ
続きを読む1. ねとらじというネットラジオがあった 20年以上前、インターネットが今ほど動画に支配されていなかった時代、「ねとらじ」というネットラジオがあった。「26歳ふりぃたぁ」「永井ラジオ」「むてきんぐ」「黒豆」「幸楽」……懐かしい名前が次々と蘇る。リスナー数の多かったDJたちの配信を
続きを読むはじめに 乙野四方字さんの小説を原作とした『僕を愛したすべての君へ』を読んだ。本作は、並行世界を舞台にした切ないラブストーリーだ。同時に刊行された『君を愛したひとりの僕へ』と対をなす作品で、どっちから読むかで結末が変わる作品。 ドングリfmのエピソード933回でなつめぐさんが紹介
続きを読む春はどこへ?寒さ続く一週間 期待した春の訪れ 先週のニュースではこう言っていた。 「来週は暖かくなり雪が溶けるでしょう。雪崩にお気を付けください。」 ほう、ついに暦の上だけでなく、本当の春がやってくるのか。わくわくだぜ。 冬の厳しい寒さを乗り越え、ようやく暖かい陽気が訪れるのかと
続きを読む1.昨年借りた本は109冊 昨年、図書館から借りた書籍は109冊にのぼった。とりあえず買う前に借りてみて、おもしろかったら購入するスタイルを貫いている。絶対に手元に置いておきたい本以外は、まず借りる。これが鉄則だ。 例えば、新書や小説は一読したら基本的には読み返さない。授業で使う
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