『中国の死神』から無常フィギュアを検索するまで
子供のころって妖怪やお化けの類って世界共通のものかと思っていた。ゲゲゲの鬼太郎を初めて読んだときはセンセーショナルだった。そうだ、自分の住んでいるところにはこんな物の怪がいるのだ!あー恐い!と思ったもんだ。仮面ライダーでは怪人が出てくる。妖怪とはちと違うが同じようなものだ。
妖怪学の権威である小松和彦先生もおっしゃっていたではないか。
ヴァンパイアやドラキュラは吸血鬼という名前で紹介されたり、マミーはミイラ男と言われたり、ワーウルフは狼男か、ウィッチは魔女だし、フランケンシュタインは人造人間。子供だった頃には西洋のものが日本産のように感じられていたのだ。だから、世界中どこでもこういう物の怪は当たり前にいると思っていた。
西洋の妖怪や怪人は折に触れて見る機会があるけれど、お隣中国はどうなのだろうか。これはまったく考えたことがなかった。そんな中で、この『中国の死神』という本に出会ったのだ。
これは物の怪やお化けの類ではなくて神様について。神様…中国の神様?いる??かの国は神様=皇帝だろうから、いたとしてもほとんどが人間化してるんじゃないの?ましてや死神?地獄や天国の概念があるってことか?仏教、道教国だよなー、てことはそういう概念はあるのか。いや待てよ・・共産圏だから唯物史観だよな・・うーん、とにかく読もう。
この本のくっそ面白いところは、フィールドワークが秀逸ってところだ。とにかく死神=無常を蒐集しまくっている。中国には「無常」という神様がいる。しかも白色でのっぽのやつと、黒色でずんぐりむっくりのやつのニコイチで行動するというのだ。なんじゃそりゃ。
そして、白色の死神を見ると金持ちになって幸せになる。黒色の死神を見ると死ぬ笑。でもニコイチで現れる笑。
さらにさらに、最初は白色のやつが一人だった。どこかで黒色も増えて、形状も変わったりなんだかんだあって、今の形に落ち着いているというのだ。
死神になる前は冥界の役人で、いわゆる閻魔様のそばに最初は仕えているポジションだったとか。なにもかもがおもしろすぎる。
こんな風に揺らぎまくるのは、民間信仰だからというのが大きい。勝手に追加削除設定をして、それが徐々に徐々に定着していっているのだ。おもしろい。中国人いい加減過ぎておもしろい。
読めば読むほど、この無常という死神がかわいく思えてきて、Aliexpressで「無常 フィギュア」「キーホルダー 無常 死神」とかで検索をかけてアイテムを探したのだけれど売ってない。うーむ。無常グッズが欲しい。しかしネットでなかなか売ってないようだ。残念。
中国では無常はとても人気があるようだ。こういう神様がいるというのはおもしろい。日本のそれとは全然違うのがまた良い。
なんで手あげてるねんとか、そのでかい帽子はなんやねんとか興味惹かれること間違いなし。ちなみに白の高帽子には「見吾生財」(我に出会えば財を成す)「天下太平」といっためでたい言葉が書かれてある。だから、人は白無常に会いたがるのだ。一方で、黒の高帽子には「見吾死哉」(我に出会えば死ぬ)といった不吉な言葉が書かれている笑。どんな神様笑。
是非一読をすすめる。