李歐

読んでいる間、脳内では板垣恵介先生(刃牙)が描いた二人がブロマンスをひたすら繰り広げていた。

多分読んでくれたら、なんとなくこの意味が分かってくれるのではないだろうか。

一彰と李歐という対照的なキャラクターは、互いに欠如している部分を補完し合う関係にあり、物語はその葛藤や統合を通じて進行する。70年代からの日本ならこういうことって本当にありそう。ぎりぎり70年代生まれの自分からすると、そういう昭和の混沌とした時代、冷戦がまだあり、国際情勢も緊迫感を増していたあの時代なら”ある”と感じるのだ。

快か不快かで言うと不快な物語だ。人が死に行く場面は数多いが、特に一彰の妻が亡くなるシーンは悲惨だ。そして詳細な描写から、こちらも脳内に鮮明にそれをイメージすることができるから尚悲惨だ。嘆息が漏れながら読み進めたものだ。

ラストに近づくと、めでたしめでたしチャンチャンという気持ちにはなかなかなれず。ほんまにこれで良かったのかなぁ、もやもやするなぁ、とは言うものの時代に翻弄されて国を相手に戦ってきた男たちの物語ととらえればひとまずは終劇となるのか。