失われたものたちの本 ジョン・コナリー
前半は主人公の12歳ディヴィッドの境遇についてず~っと書かれている。これがつらい。前評判も何も知らなかったので、このあとどんな展開があるのかも分からないし、まさかずっとこんな調子でデイヴィットの状況が書き続けられるのか?だとしたら読み進めるのしんど!と思っていた。
話は急展開をする。デイヴィッドがファンタジーの世界へ足を踏み入れるのだ。そして出てくる人物たちはどこかで読んだことのある物語からだ。昔話法廷のような、そんな世界線の異なったものが複数出てくる。ラスボス的な存在もにおわせで居たり、現実の世界とで抱える問題の解決も含めてどう生きていくのかを考えさせられる一冊だった。
家族のもとへ戻ったあとの話は、なんとも欧米的というか切なさみたいなものが心にひっかかる作品だった。ファンタジーなんだけれど、子供におすすめ!ではなく大人が読んで、これからの家族の在り方とか自分の人生についてとかそういうことに思いを寄せる作品なんじゃないかなー。