場所 瀬戸内寂聴
初めて瀬戸内寂聴の本を読んだ。自分が物心ついたときには、この人は尼さんで、TVに出て何やら人生相談みたいなのを受けている人だった。どうして有名なのか、さっぱり知らなかった。当然興味なんて湧かなかった。たまたま手に取った『場所』から、瀬戸内寂聴が作家であることを知ったのだ。
この本は自叙伝になっているのか。生い立ちが、その場所場所が持つ記憶とともに描かれている。読み進めると瀬戸内寂聴に興味が沸きWikipedia等を調べるにいたる。恋多き、破天荒というか変な人やなぁという印象を受ける。尼さんの姿しか知らない自分からすれば、なんてむちゃな生き方なんだと思う。
夫も子供もいるのに、次の恋人を作る、そしてそれを文章にして表現する。頭のネジが飛んでるとしか思えない。とても失礼な言い方だが─。
本著に出てくる場所は関西地方でなじみのところもあっておもしろい。そこの場所での出会いや過ごしたことを、本人が再びその地を訪ねて、そこで住まう人と話すことなどをきっかけに話が膨らんでいく。
特筆してこの箇所がおもしろい!はないが、全体を通して人となりや人生観や時代観が伝わってくるのが瀬戸内寂聴の良さなのかもしれない。