LearnBetterに学ぶ
先生、勉強の仕方がわかりません、教えてください。生徒から、この質問はたくさん受ける。全教科に関して学習方法(あくまでも自分流)をA4プリント2枚に渡って解説したものを4月に生徒に渡すことにしている。
しかし、ほとんどの生徒はそれを素直に実行しない。小学校以来続けてきた学習法を改善する者は極めてまれだ。その方法で学習効果が上がっていないにも関わらずだ。
逆に学力のある者は素直に取り入れて、さらに学力が伸びる。当たり前といえば当たり前だ。この素直さというのは学習においては決定的な差になるように感じる。
と言っても学習方法を尋ねてくる生徒は、現状ではいけないと感じているのだ。それに対して、効果的な学習法を提示するのは教員の責務にように思う。
ただし1から10まで説明しようとしたら相当な時間が必要になる。パッと答えたもので、すぐに効果があることを期待するのが子供だ。そんな方法なんて存在していないのに。
結局のところ、学習は覚悟の問題だし、自分のことに関係づけられない学習は身につかないと言ってもいい。とどのつまり知的好奇心の有無と、自分を律しながら自分で学べるかだ。
今回読んだ『Learn Better』 アーリック・ボーザー著は、当たり前のことを、それでも分かっているつもりになっていたことを明確にしてくれた良著といえる。
6つのセクションに分かれている。
1.価値を見いだす
2.目標を決める
3.能力を伸ばす
4.発展させる
5.関係づける
6.再考する
考査前に詰め込み学習をする生徒に対して、その日に学んだことはその日に復習をせい、なんなら休み時間に復習をせいと言っているが、実行している生徒は少ないだろう。
忘却曲線の話をして、分散学習をすることが効果的だという話をしても、チャイムが鳴れば忘れられてしまう。
学習計画と目標設定、適宜計画を修正しながら学ぶことが効果的だという話をしても、やはり生徒たちにはピンとこないのだ。
受験に追い詰められるまで、現実に追い立てられないと子供は動かないものなのかもしれない。
そりゃそうか。この学びおもしれぇえええってやつは、どんどん賢くなっていくだろうし。何事にもおもんない、わからん、つまらんって言ってる受け身のやつは、どんどん愚かになっていくだろうし。
中学生になって後者のままというのは、何かインパクトのある出来事でも起こらない限り変わらないのかもしれない。
親が言ってもだめ、教師が言ってもだめ、塾の先生が言ってもだめ、友達が言ってもだめ。そう、自分が変わろう、学ぼう、学びたいと腹を括らない限り、いくら学習方法を教え、鼓舞しても無駄なのかもしれない。
それでも我々はそんな生徒たちの首根っこをつかまえて「まぁ、俺の授業聞けよ、おもろいからさ!!」と強制していくのだ。
教育とは強制である。野口芳宏先生の言葉だ。
子供の自主性に依る教育なんてのは嘘だ。
LearnBetterは教師、親、上司などが読むべき本だと思う。そして『知ってるつもり』スティーブン スローマン著を読んだ後に読むと、さらに理解が進む。問題はこう言った頭の使い方や学び方をいかに子供たちに、興味を持たせられるかだよな・・・。