前頭葉と娘

娘には物欲っちゅーもんがない。

誕生日プレゼントはなにがいいのって、祖父母が尋ねても「う~ん、ばすぼむ!(入浴剤)」とか「箱にはいってるの!」とか、そういう答えが返ってくる。YouTubeで同年代の子供が商品紹介をしていても、あれが欲しいとは言わない。おもちゃコーナーで買い物をしていても、あ!あれTVで見た!とか、あれは〇〇ちゃんが持ってる!とか、そういうことは言うのだが、だからと言って欲しいとは言わない。買って買って~って床に転がったり地団太踏むこともない。

親にしてみたら楽なことこの上ないのだが、祖父母にしてみると困るようだ。なにせ孫を喜ばせるためにあれこれ思案するようで、1か月も2か月も前からリサーチをするのが肩透かしをくらっているのだ。

子供の物欲が高くないってことは、それなりに満たされているってことなのだろうか。他人と比較して羨ましいという感情が芽生えていないのか。正直、分からない。

子供はどんなものでもおもちゃにする天才だ。トイレットペーパーの芯でも、海賊の望遠鏡に見立てたり、機関車の煙突に見立てたりして遊ぶ。見立てができるには、経験と知識が必要だと思う。

用途が限定されていない曖昧なものほど、遊びの中で創造性と創造力が活かされるのだろう。

買い物にでかけると火が付いたように物を欲しがる子供を見かける。特に年末はどこへ行っても刺激的で扇動的な広告が散見されるので、子供の視線を逸らすことは難しい。そういう悲劇的な子を見るたびに、おうちの人は大変だろうなぁと想像する。なだめすかしても効果はないだろうし、叱ったところで無意味だろうしと、心中察する。

我が家ではおでかけする前に、「今日はおもちゃ屋さんに行くけれど買いません。欲しくなったら言おう。」と約束をしておく。そうすると娘は欲しがることもなく過ごすことができる。実際は欲しいのかな?

「我慢する」という自制行為は前頭葉の発達と相関するようだ。例のマシュマロテストが示している、いわゆるシステム2にあたるものの育成が重要だという。前頭葉の発達は5歳くらいから始まり中学1年生くらいでピークを迎える。

娘の前頭葉って発達していってるのかも!と喜んでいたけれど、食欲に関してはむちゃくちゃ本能に忠実な(システム1に完膚無きに叩きのめされる)ので、前頭葉はまだまだ発達途上なのであった。